ベースアップ加算の返戻について
厚生労働省は2023年8月18日に介護職員等ベースアップ等支援加算に関するQ&Aを出しましたが、その中で特に気になった部分について記事にします。管理者や経営者は誤解の無いように理解し対策をしましょう。
ベースアップ加算の三分の二は毎月支給すること
介護職員等ベースアップ加算の算定要件として他の処遇改善加算などに無かった項目があります。
厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働大臣告示第95号)において、介護職員及びその他の職員のそれぞれについて、賃金改善に要する費用の額の三分の二以上を基本給又は決まって毎月支払われる手当に充てる賃金改善計画を策定し、当該計画に基づき適切な措置を講じることを要件としています。
これを簡単に言うと、ベースアップ加算で支給される金額の三分の二以上は、基本給か毎月支給される固定した手当で支給しないといけないので、毎月支給される加算金額と賃金で支給している金額を管理して問題があれば、賃金支給額を調整して三分の二以上になるようにしなくてはいけません。
ずさんに管理して処遇改善加算等の報告時期(毎年7月)に気づいても時すでに遅し…ということになります。運営指導(実地指導)などが入れば当然、全額返戻となるようですので注意が必要です。
注意すべき例
- 利用者数やサービス数が大幅に増えた
- ベースアップ加算対象者が数名退職した
加算については、その事業所の売り上げに対して〇%となるので、利用者さんが極端に増えた場合は、加算支給額が当然増えます。
例えば、計画した時に毎月の加算支給額が100,000円なので、支給対象スタッフが10人として毎月7,000円を支給していたとすると毎月70,000円を固定支給しているので、三分の二以上になっていますが、利用者さん数が増えて加算支給額が120,000円になった場合、ベアの賃金支給額を単純に毎月8,000円に上げないと三分の二未満になってしまい、気づかずにそのまま年度が明けてしまうと違反行為となってしまいます。
また数名の退職者が出てしまった場合ですが、仮に10名のうち3名が退職したとしましょう。毎月加算支給額が100,000円に対して、賃金支給額が7,000円x7名となり49,000円となり、三分の二未満になってしまいます。これも同じように要件を満たしていませんので違反行為となります。
但し、年度末などに誰にも予想できないような売上増などがあった場合には賃金規程の改定によるベースアップ等の増額が間に合わなかったなど、合理的な事情が認められる場合は、この限りではない。
とされているようですが、出来ることなら日ごろから加算支給額と賃金支給額の調整を管理しておくことを私は強くおすすめします。(報告時でも、運営指導時でも指摘が入らない事がベストですので)
多く出し過ぎにも注意!
スタッフとしては多く支給されるのは喜ばしいことでしょうが、経営者や管理者のずさんな考えにより最初は適当に多くだしておき、年度末に向けて1~3月の賃金加算支給を0円に調整するという事業所もあると聞きました。この方法は結果的にはスタッフの不満なども出ると思いますので注意が必要です。
私の会社では、
毎月、加算支給額と賃金支給額を比較して約80%になるようにしています。
そして最終月の加算支給額が決定した際に余った残金合計を対象スタッフで分配支給します。
この方法で計算をすると100,000円x20%(残金)x12ヶ月÷10人=24,000円+8,000円(毎月支給分)=32,000円(最終月の支給額)となります。
上で書いたように、ずさんな管理で年度末に調整で0円支給にする運営より、最終月に多く支給してあげる方が、スタッフとしても多少はモチベーションも上がるでしょうし、キチンと説明をすることで信頼関係も構築できます。
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