訪問介護事業所を経営するにあたり法的要件に人員基準というものがあります。
その人員基準の中に「常勤換算」というものがあり、訪問介護事業所においては「2.5人」を下回ってはいけません。
しかし「常勤換算」とはどのようなものなのでしょうか?
知っているようで、ちょっと分からないという方に、今回は「常勤換算」について簡単にご説明しましょう。
常勤換算って何?
訪問介護事業所を運営していくと処遇改善加算やその他多数の書類を役所へ定期的に提出していく事になりますが、この常勤換算という数値が報告書には必ずと言って良いほど出てきます。
ですので覚えてしまった者勝ちということで、手っ取り早く覚えてしまいましょう!
訪問介護事業所の常勤換算
指定基準である法的要件の中の人員基準で必要な職種は「管理者」「サービス提供責任者」「訪問介護員」でしたね。分からない人はこちらをご覧ください。
そこでゼロから始める事業所の場合、多くの人員は余計な人件費になってしまいます。ですがスタッフがいない事業所ではサービスを受ける事もできませんので最低限の人数を確保するという意味で設定されています。
では各職種について前回よりも詳しく説明しましょう。
管理者
サービス提供責任者
訪問介護員
注意事項(補足)
管理者については、常勤で専従が原則となりますので、他の職種との兼務はできません。
例えば、建築関連の会社が訪問介護事業所を開設した場合、訪問介護の管理者は、母体である建築の仕事であっても業務をしてはいけません。
但し、同じ事業所のサービス提供責任者との兼務は認められているので、初期段階でスタッフ人数を抑えることはできます。
ここで注意したいのは、「管理者」「サービス提供責任者」「訪問介護員」を全て兼務することはできません。これは、管理者としての業務に支障をきたす恐れがあるからです。
では、管理者と訪問介護員の兼務についてですが、これは各都道府県もしくは区市町村での取り扱いが違う可能性がありますので、ご自分の地域で確認を行なってください。
僕の見解としては、管理者は結構やる事が多いのでシフトには入らないという意識が組織的に必要と思います。
訪問介護事業所の常勤換算計算方法
原則として常勤換算は「管理者」を除くサービス提供責任者と訪問介護員の出勤時間で算出されます。
但し、管理者がサービス提供責任者又は訪問介護員と兼務している場合は管理者業務時間を差し引いた時間で算出します。
開業時の最低人員で常勤換算2.5人をクリアする方法
上記の例では、実際の人員としては3名のみで開業可能という事になります。
また管理者とサービス提供責任者が兼務になりますので手当等も極力抑えられます。
しかしケアマネさんへの営業を行なっていれば、すぐに仕事が貰える現時点では、すぐに人員が足りなくなりますので、あまり人員を抑えてしまうと折角の新規依頼が来ても断らなくてはいけなくなります。先行投資と考えて人員は早めに増やして置くことがポイントとも言えます。
常勤換算の計算方法
簡単に説明します。実は僕、管理者としてやってきて、数年間違った方法で常勤換算の計算をしていました(笑)
例えば、下記の人員の事業所があるとします。
管理者:1名
サービス提供責任者:1名
常勤社員:1名
パートA:100時間/4週間
パートB:90時間/4週間
パートC:30時間/4週間
さて上記の事業所は常勤換算何人でしょうか?
はい、答えです。
答え:3.3人です。
ではこれを基に説明します。
①まず事業所の規定日数(常勤が従事する時間数)を出します。
1日8時間x週5日=40時間/週
40時間x4週間=160時間 になりますね。
※注意常勤換算については、4週間で計算するのが基本です。
②常勤については160時間が基本ですのでおそらく160時間のはずです。
③パートABCさんの働いた時間を合計します。(220時間)
では計算しましょう。
管理者:0時間
サ責 :160時間
社員 :160時間
パート計:220時間
事業所計:540時間
540 ÷ 160 = 3.375
小数点第二位以下切り捨てなので…
常勤換算は3.3人となります。
簡単ですね。
人員要件での不正は絶対にしてはいけません
僕が管理者に就任した頃は「名義貸し」などというのがまだあったように記憶していますが、例えば他事業所で訪問介護員をしている介護福祉士を自分の事業所のサービス提供責任者として、実際は勤務していない…というものです。
他にも知り合いのヘルパーさんを勤務しているように見せておいて実際は勤務していない…
訪問介護員で勤務している人がヘルパー資格を持っていない…
規定人数(利用者さん)を超えているのにサービス提供責任者の人数が足りない…
※利用者40名以下に対してサービス提供責任者1名の配置ですから41名になった時点でサービス提供責任者を2名配置しなくてはいけません。
これらの悪質な行為は実地指導等でも即監査に切り替わり、返金命令や営業停止などの処分になります。
無資格勤務者等については、現在(2019年)でもまだ処分になっている情報がメールで流れてくるほど横行しているようですね。
また会社は知らないで無資格を雇ってしまうケースもありますかね…実際に資格証のコピーなどを貰っておくこと。もしその資格証が不正のものであった場合には不正申告をした従業者に責任があるのですから会社を守る為にもなあなあにはせず、キチンと書類を保管しておきましょう。
また、不正しないと成り立たないような事業所は一刻も早く潰れて良いと僕は思います。