つい先日、今年1月に入社した女性ヘルパー(A子)さんから相談があった。

「〇〇さんですが、何度も同行させて頂きましたが、どうしても私には対応ができないかも知れません。シフトの関係もあるので頑張ろうと思っていましたが、その事で最近夜中に目を覚ましていろいろ考えてしまうんです。」

私の管理しているのは訪問介護なので、基本的には1対1でのサービス実施になるので、コミュニケーションというのが最重要になると私は考えているが、今回の相談を受けて、A子さんの意見を要約をすると、

  • 自分が行くといつも利用者さんから「何しにきた」と言われる
  • 「二人で来るとは聞いてないぞ」と罵られる
  • 目も合わせてくれない
  • 上記の事を指をさされて言われる
  • (本人いわくここまでは我慢できる)

  • 同行したヘルパー(B子)に「何でいつも同行するの?」と言われる
  • 前述の利用者さんの言葉に同調して「ねぇ何で来たんですかね」と…
  • 「事務所へ相談します」と利用者さんの前で言われた
  • 上記の事で同行訪問中も、何もできず居場所もないままだったとのこと。

    入職して間もなく、やる気に満ちている職員に対して、同社の職員が敵対するかの対応…自分がその場でいたとしても、たまらない状況と思う。

    朝から涙ながらに話しているA子さんの話しを聞いていて涙もろい私は本当に涙が出てきそうな内容だった。

    私から見るA子さんは、

  • 3人の子供を持つ母子家庭
  • 介護技術としては問題なし(身体・生活共に)
  • コミュニケーション、やや雑かも(特に言葉遣い)
  • とても仕事に真剣に向き合う
  • 私から見るB子さんは、

  • 3人の子供を持つ主婦(パート)
  • 介護技術、コミュニケーション能力は抜群
  • 以前に他社でサービス提供責任者をやっていた
  • 私用が優先、休みがち(だからパート)
  • あえて4項目でまとめてみたが、こんな感じです。

    この問題に関しての結論

  • A子さんは〇〇さんの担当から外す。
  • 当面、A子さんとB子さんの接点を減らす。(極力同行などはなし)
  • 今回は片方(A子さん)の内容しか聞き取りはしていない状況ではあるが、いまここでB子さんを呼び出して聞き取りをして指導をしたとしても私の経験上、良い事にはならない。B子さんについては、今後時間をかけながら丁寧に指導していくとする。

    何回も「すみません」と言っていたAさんであったが、私は本当に嬉しかった。このような事が当社でも起きているという事実を知ったこと。そしてA子さんが相談をしてくれたこと。

    よくありがちだが、無理したり我慢したりして対応した結果、心身ともに疲弊してしまい退職になるケースも多い。過去にもそういうケースは何度もあった。

    だからこそ、私は本心から『相談してくれて、ありがとう!』と思う

    こんな事を踏まえて、私の事業所でのモットーは、
    皆んながハッピーで働きやすい訪問介護

    これは、約10年前に飛び込んだ介護業界で一番に思った事なんだ。

    当時を思い返しても、

  • 低賃金
  • 重労働
  • 理不尽な要求
  • 職場環境の悪さ
  • 人間関係の悪さ
  • 等々
  • 言葉は悪いが、介護業界というものが”しょぼくれて”いるように見えた。

    その時に決意したことがある。それは「私の事業所だけでも良い。職員も経営者もみんな笑顔があふれる日本一最高の会社にしたいと…」

    これを聞き綺麗ごとだとか、現場を知らないとか様々な事を言われた。

    経営者側からも賃金値上げ、給与体系の見直し、福利厚生の充実、タイムカードの導入、時間外手当の完全支給、研修の経費完全支給、ガラス張りの見える運営、等に対してかなりの反発があった。

    しかし、これらの事を実現しないと目指す最高の会社づくりはかなり難しい。

    私が入社した当時、訪問介護部門は赤字部門との認識で経営者サイドも諸経費アップなどは検討の余地もなかったのが現実です。

    そこで私が一番に取り掛かったこと

  • スタッフとの面談で不満や改善点の提案の傾聴と説明
  • 経営サイドとの綿密な打ち合わせとビジョンの確認
  • シフト(訪問ルート)の見直し
  • スタッフの業務改善(ICT化)
  • 貸し出せるアシスト自転車を3台導入
  • 常勤職員に対してタイムカードでの勤怠管理
  • 常勤職員の直行直帰の実現
  • 常勤職員の増員
  • 事務員の増員
  • 就業規則、給与規定等の法律に則った修正
  • これらの事を6カ月で行ないました。

    結果、約8カ月ほど経った時には200万円/月の売上が向上していましたので、自ずと経営者サイドも納得するようになったのです。

    これは、当然なことですが初期投資はありましたが、それほどの金額ではありません。それに対して明確な売上を向上させたのですから当たり前です。

    ここでのポイントは、
    ①シフト(訪問ルート)の見直し
    私の地域では多くのヘルパーさんが自転車で回りますので移動距離の効率もありますし、訪問先のサービス内容によって変更しました。難事例やクレーム多数のサービスばかりでは気が滅入ってしまいますから。そして効率が良くなった事でスタッフの負担をあまり増やさずに新規依頼を効率良く入れることが可能になります。

    ②会社が変わったと思わせたこと
    自転車を用意したり、意見や提案を聞く管理者の出現、あきらかに業務が改善されていく流れでいくと、人の意識というのが自然に変わっていきます。新しいものには興味を湧くのは自然の原理です。

    ③経営(運営)の見える化
    私の入社当時、うちの会社はこうだ!他は知らん。
    みたいなやり方だったのですが、職員にかかわる事柄に関しては就業規則や給与規定、有給休暇の存在、途中からですが処遇改善加算の分配に対しても、「介護保険制度からの〇%が処遇改善で当社では〇〇〇万円になるので、それを常勤換算で、こう分配しています。」というような説明がキチンとできるようにルール化しました。今後、管理者の席に座った人が困らないように。

    細かいことは別として、この3点に対しての改善点だけでも職場の改善というのは大きく変わります。

    そして一番大事なこと。
    それは、誰もがハッピーになること!を考えるのです。

    もしいま、職場の環境を改善したいとか、悩んでいる経営者サイドの方が読んでくれているとしたら、私は今後も様々な情報を発信していきます。是非、フォローしておいてください。無理強いはしません(笑)

    ※当記事はnoteでも掲載されています。
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